きこえの基礎知識

聞こえる音の範囲-ダイナミックレンジ-

補聴器は、会話音を大きくして聞こえやすくしてから難聴者の耳に届けます。ただ、入ってくる全ての音を大きくしたら良い訳ではありません。

難聴は、伝音難聴・感音難聴・混合性難聴と3つの種類に分けられるのですが、補聴器を使うほとんどの人は感音難聴です。感音難聴の場合、かすかに聞こえる音からうるさいと感じる音までの幅が非常に狭いのです。

下の図で、最小可聴閾値から不快閾値までの音の幅を「ダイナミックレンジ」と言います。

感音難聴者の場合は、聴力が低下しているので小さな音は聞こえません。その為、かすかに聞こえるレベルが正常な聴力を持った人よりも大きな音になってやっと聞こえてきます。そこからうるさいと感じるレベルまでの幅は非常に狭いのです。この幅は難聴が高度になる程、狭くなっていきます。

補聴器を装用する場合、話の内容が分かる大きさで聞こえる必要がありますが、不快にならない大きさにすることも必要です。その為、小さな音は沢山増幅する必要がありますが、大きな音はさほど増幅しない事が必要になります。

このように、難聴によって狭くなったダイナミックレンジの中でより沢山の音を聞く事ができるように音を圧縮・増幅します。それをノンリニア増幅と言います。小さな音はより大きく・大きな音はさほど大きくしないという方法を取りながら幅広い範囲の音を聞くことができるようにします。

この圧縮の程度は、難聴の程度や難聴者の好みも考慮されます。全ての音を圧縮するという訳ではなくある程度の自然さを保ちながらもその人に合う調整をする必要があるのでバランスを考えて調整されています。

また、聴力の程度によっては音の高さ(周波数)を変えて聞き取る事が必要な場合があります。言葉の聞き取りは、高い周波数に多くある為、高い周波数の聴力が低下している場合は、言葉の聞き取りに影響を及ぼします。そこで聴力の残っている低い周波数の方に移行させる機能もあります。

成人の場合は、既に言語を学習しているので問題ない事が多いですが、子どもの場合は様々な音を学習する必要があるのでこのような機能を使用する場合もあります。

他にも補聴器には、雑音を抑える機能や特定の方向から音を拾いやすくする機能もあります。補聴器を購入される際に参考になさってください。