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よくあるご質問
補聴器について、ちょっと気になっていることやもっと詳しく知りたいこと等、様々な質問に丁寧にお答えします。
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認知症の家族に補聴器装用は有効ですか?
認知症に対する補聴器の有効性に関して、欧米では有効とされていますが、日本では様々な研究がおこなわれており、まだ結論は出ていません。国立長寿医療研究センターで行われた「認知機能障害のある難聴高齢者に対する補聴器適合」によると、補聴器の装用により「会話や笑顔が増えた」「テレビに相槌をうちながら見るようになった」「カラオケを歌うようになった」「(怒鳴り声で話さなくてすむので)喧嘩が減った」「(昼間うとうとすることが減ったために)夜間不穏が減った」「耳鳴・幻聴が減った」など効果が報告されています。一方で、認知症の方が補聴器を毎日安定して使用するためには、家族による着脱補助や電池の確認といったサポートの必要性も言われており、毎日装用していても、独居や施設入居など家族のサポートが得にくい状況の方は、「電池が切れたままでも気づかない」「耳栓がうまく挿入できない」など装用状況が不安定だったそうです。
認知症患者は最近の出来事の記憶や新しく物事を覚えるのが苦手となりますが、以前からの習慣は比較的長期間にわたって保たれることが多いので、難聴のある高齢者では認知機能低下前から補聴器を装用することが望ましいと言われています。
難聴が見受けられたら耳鼻咽喉科を受診し、早めに補聴器を装用。家族が装用のサポートをすることで、継続して装用し認知機能の低下を抑制することが大切と考えられます。
※出典:杉浦彩子,内田育恵,安江穂,伊藤恵里奈,中島務(2015)「認知機能障害のある難聴高齢者に対する補聴器適合」Audiology Japan, 58, 81 ~87.
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補聴器を装用しても効果を感じられない時はどうするのですか?
「補聴器を使って色々な音を積極的に聞いてみたけれども、効果を感じなかったので使うのをやめてしまった」という方がいらっしゃいますが、ご自分の耳を補聴器の音に慣らしながら、調整を繰り返し行うことが補聴器を活用するうえでは重要です。
調整は、聴覚トレーニングをしながら段階的に行います。例えば「ピー」と鳴った音が、お湯が沸いた音なのか、ハウリングの音なのか、電子機器のお知らせ音なのかといった区別や、「柿」「牡蠣」同じ発音の言葉の聞き分けには、「こういう音を聞く」「音の発生源を確かめながら聞いてみる」など、トレーニングによって音と言葉の結び付けがしやすくなります。トレーニング方法は聞き取り難い音や難聴度によって異なるので、購入したお店で相談してみてください。
質問②の回答にもありますように、音は脳で聞き取っているので、補聴器に望める効果は「現在の語音明瞭度(音を言葉として理解する力)を最大限に引き出すこと」です。そのため、補聴器をただ着けるだけではなく、テレビの字幕を見たり、向かい合って口が見えるように話をしたり、メモを活用したりするなど視覚的な情報を活用することも、音を言葉として理解する時の手助けとなります。
周囲の方が協力できることもあります。補聴器を使用している時に大声で話されると、かえって聞きづらくなることもあるので、「普通の大きさの声でゆっくりと話す」「要点だけを話す」「不意に話しかけない」「正面に立って口元を見せながら話す」と良いでしょう。補聴器を装用すると直ちに正常なきこえに戻るとは思わずに、本人が効果を実感できるように周囲の方が協力し、励ますことも大切です。
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認知症の予防には補聴器が良いというのは本当ですか?
2015年に政府が策定した「認知症施策推進プラン(新オレンジプラン)」では、難聴の早期診断および早期対応として補聴器を装用した活発なコミュニケーションが発症予防につながる可能性があると期待されています。認知症の発症には様々な要因があり、難聴も要因の一つと言われています。聴力の低下に伴い脳に届く音の刺激が減少することで、脳での認知機能が低下する恐れがあることはよく知られています。日本補聴器工業会の調査※1によると、過去1年間で物忘れがひどくなったと回答したのは補聴器装用者64%に対し、非装用者は76%でした。また、アメリカのフランク・リン博士の研究※2によると、難聴度が高くなるにつれ、アルツハイマーの発症リスクは増えるが、軽度難聴でも十分なリスクがあることが報告されています。
認知症の発症を予防するため、コミュニケーションの大切さや、聞き取りの大切さに注目が集まっています。
※1:http://www.hochouki.com/files/JAPAN_Trak_2015_reportv3.pdf
※2:http://archneur.jamanetwork.com/article.aspx?articleID=802291 -
補聴器は片耳だけ使えば良いのですか?
補聴器は病気などで片耳だけ難聴である場合を除き、両耳に装用した方が良いと言われています。両耳に装用することで音の方向感と距離感が分かり、言葉の聞き取りも向上します。さらに、片目だけで物を見ようとすると疲れてしまうように、片耳だけに頼って聞くと耳が疲れやすくなります。少し専門的な話になりますが、詳しくご説明します。
音の方向感が分かる
低い周波数は左右の耳に届く音の時間差で、高い周波数は左右に届く音の音圧(大きさ)差で方向感を得ています。従って、両耳で音を聞く必要があります。例えば複数での会話で話者が急に変わると、誰が話し手であるかを判断することが困難になる、警報の方向が分からず不安になるなど、騒がしい所での方向感の低下は特に問題となります。
言葉の聞き取りの改善
片耳だけに装用している場合、装用していない側からの言葉は聞き取り難くなります。これは、高い周波数(子音部分)は大人の頭部よりも波長が短く、頭部を回り込んで反対側の耳に届くことが困難なためです。周波数によって補聴器を装用している耳まで届く音と届かない音が出てしまうので、言葉の聞き取りにも影響があります。
騒がしい場所でも聞き取りやすくなる
パーティー会場のようにたくさんの人がそれぞれに雑談しているなかでも、自分が興味ある人の会話や自分の名前などは自然と聞き取ることができます。これをカクテルパーティー効果といい、人間は音を最終的には脳で処理して必要な情報だけを再構築しています。両耳が同じようにしっかり聞こえていないとこの能力は発揮されないと言われています。
片耳だけよりも小さな音で聞き取りやすくなる
両耳に装用することにより、会話程度の声の大きさでは、片耳で聞くよりも約6dBきこえが良くなると言われています。テレビのボリューム1つ分の大きさが約3dBですので、ボリューム2つ分よく聞こえるということになります。
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補聴器を装用すると聴力の低下を防げるのでしょうか?
一般的に補聴器を「装用する」「装用しない」どちらの場合でも、聴力は脳に起因する下記の例から徐々に低下していくと言われています。
聴力低下の要因の主な例
・加齢
・病気(中耳炎・メニエール病など)
・騒音(職業性・携帯音楽プレーヤーなど)
・心因性(ストレスなど)
・原因不明(突発性難聴など)つまり、補聴器を装用していれば低下しにくいとか、逆にきこえにくいまま放置すると低下しやすくなるというわけではありません※1。(加齢性難聴の場合)ただし、ここでいう聴力とは「ピーピー」「ポーポー」という音を聞き取る純音聴力検査における結果のことで、小さい音が聞こえるか聞こえないかを示します。
一方、「つ」「さ」など言葉としての音を聞き取る力(語音明瞭度)は、補聴器を装用した方が能力は保てると言われています。言葉の聞き取りには「聴力」と「脳」が大きな関わりを持っているため、語音明瞭度が低下すると「いちじ」という音が聞こえても、「一時」という言葉として認識できなくなるのです。聴力が低下し脳への言葉の刺激が減ってしまうと、言葉を聞き取る能力の低下が早く進行してしまう可能性が高まります。最近の医療関係の学会などでは、難聴により脳への刺激が減ることや周囲とのコミュニケーション機会の減少により認知症の発生率が高くなるという報告がされています※2。また、これを予防するためには補聴器が有効であるということも言われています。このように、脳の働きや健康という観点からも、補聴器の早期装用はとても大切であるということになります。
- ※1 補聴器装用時に必要以上に大きな利得が設定されている場合、聴力低下につながる可能性があるため、適切なフィッティングが重要です。
- ※2 参考文献:山岨達也、越智篤(2014)「聴覚に関わる社会医学的諸問題『加齢に伴う聴覚障害』Audiology Japan 57, 52~62.
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補聴器を使い始めるタイミングはいつが良いのでしょう?
補聴器を使い始めるタイミングは、聞き取り難い場面が出始めた時です。「補聴器は本当に困ってから使用すればよい」と思われている方も多いようですが、補聴器は難聴度の軽いうちから使用した方が高い効果を期待できます。早期に装用するメリットで特に重要なものを下記に紹介します。
生活音を維持し安心感を保つ
難聴の程度が軽いうちに補聴器を装用することにより、生活音を聞き取り、安心感を保つことができるようになります。装用するタイミングが遅れると心理的ダメージが蓄積され、コミュニケーションを図ろうとする気持ちが減退し、会話時の不安・消極性・緊張感などの問題を引き起こすことが多くなります。
言葉を聞き取る能力を保つ
音は脳で聞くと言いますが、音の意味を汲み取ったり、言葉として理解したりするのは、脳が行っています。補聴器を装用せずに難聴を放置すると、音の刺激が少なくなるため、元々持っている語音明瞭度(音を言葉として理解する力)が低下してしまう可能性があります。これは、補聴器を装用して多くの音刺激が入り注意を向けることで予防することができますが、放置する期間が長くなるほど低下していきます。音の刺激を入れることが認知能力の低下につながるとも言われています。
補聴器の効果が出やすい
難聴の程度が軽い場合は、内耳にある音の情報をキャッチする有毛細胞の損傷が少ないため、騒音下や多人数での会話の聞き取り能力の低下が比較的少なく、補聴効果を期待できます。一方、難聴の程度が重くなると有毛細胞の損傷度も激しく、聞き取り能力自体が低下しているため、補聴効果も小さくなります。
一方で、加齢によるきこえの低下は徐々に進行するため、特に本人は気付きにくいことがあります。ですから、周りの方が気づいてあげて、「最近少し聞き取りが悪くなってきたかな・・」と感じたら補聴器のことにも詳しい耳鼻咽喉科で詳しい検査を受けられることをお勧めします。 また、自覚をしていてもなかなか着けたがらないという方も多くいらっしゃいます。そうした場合も、専門家から指導をしてもらうことで考え方が変わることも期待されます。
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テレビの声はどうして聞き取り難いのですか?
テレビの音声が聞き取り難いのは、会話のような双方向コミュニケーションではなく、一方通行の聞き取りになることが大きな要因です。
テレビ音声の特長
ニュース番組はアナウンサーがマイクに向かってゆっくりハッキリとした口調で原稿を読むので聞き取りやすく、ドラマやバラエティは喜怒哀楽をセリフやアドリブで表現するので声のトーンや抑揚が一定せず聞き取り難いと言われます。
スピーカーからの距離や視聴環境での反響音
テレビのスピーカーから距離があることや部屋の音が反響するなどの視聴環境も、難聴者には大きな問題となります。テレビのスピーカーと視聴する方の距離が近ければ音が大きくなりますが、最低1.5~2m位は離れて視聴するのが普通です。スピーカーが下や後方にある最近の薄型テレビや、迫力や臨場感のある音質のスピーカーの場合、難聴者には聞きにくくなる場合も多いようです。反響音を軽減するために、テレビをステレオではなくモノラル音声に設定したり、壁の素材が硬い場合は布で覆ったり、本棚や棚などのサイズや質感の異なるものを置いたりすると、聞き取りに効果がある場合もあります。
補聴器での聞き取り
補聴器は聞く音声の「大きさ」や「高さ」に対して、どのくらい大きくするかを調整できます。静かな部屋の中で見るテレビは比較的小さな音なので「小さな会話の音」を大きくするなど、聞き取り環境に合わせた調整を行います。また、テレビの音声を直接補聴器に届けられるワイヤレスシステムを併用すると、距離による音の小ささ、スピーカーの質、部屋の反響、周りの騒音などテレビの聞き取りを悪化させる要因が解消され、テレビがさらに聞き取りやすくなります。